カテゴリ: black

ウクライナ産、珍しくもキーボード2人を含む5人組シンフォニックブラックメタルバンドです。
ファンの間では神とまで崇め奉られる、辺境の地ウクライナが産んだ偉大なる国家社会主義、ネオナチバンド。国家社会主義だとかネオナチだとか言っても、それは結局は思想な訳ですから、音像そのものに大きな影響は無いのですが。
実は、ぼくはこのバンドの音源を、本当に、それこそ喉から手が出るほど欲しておりまして、色々なCDショップを巡って血眼になりながら探し回ったわけです。そして苦節三ヶ月、短いようで非常に長かった捜索期間を経て、ようやく入手に成功するに至ったわけですね。内容は当然、ぼくのそういった期待に一切反さない、至高のブラックメタル世界が広がるまさに傑作の二文字が相応しいものでありました。
とても派手で、大胆なキーボードアレンジを取り入れたシンフォニックブラックというのがその基本形。それに加えウクライナ民謡からも深くインスパイアされおり、曲中には笛などの民族楽器が使われることもあります。
端的に言えば、シンフォニックにキラキラしながら、ブルータルでシリアスな乱痴気騒ぎをしているような音です。
シンフォブラックとペイガンな東欧の民族音楽が見事に調和、融合した、非常にクセになる呪術的宴。そんな本作の中で特出すべきはやはり笛です。ブラックと民族音楽の融合という音楽性の本作において、それが果たしている役割は極めて大きく、随所で入ってくるこの笛こそが本作を傑作足らしめる非常に重要な意味をなしているのです。
そして、シンフォ系のバンドとしてはこれまた珍しい、非常にローファイな内容でもあります。ぼくのような、ポンコツ思想に脳を完全に蝕まれてしまった残念な人は、必然的にそういう音を好む傾向も強くなっていくので、やはりそれも彼らに対するぼくの期待と完全に比例していたということなのです。
とは言っても、ポンコツメタルのリスナーにしか勧められないような音楽では断じてないことはここにはっきりと明言できます。決して大衆的などとは言えませんが、大衆には理解され難いからこその良さというものが当然そこには存在するのです。それこそが、ぼくが普段すき好んでマイナーメタルを聞いている理由に他ならないわけですが、実際このバンドに対しぼくは良さ以外の要素をまるで何も見いだせません。頭の弱さを露呈するような感想しかぼくのようなポンコツ人間には垂れることができませんが、本当にその通りなのですから許されて然りです。開き直ってやりますよ、表現として成り立っている気はしないですが、それほどまでに良いということなのですからね。マイナーエクストリームメタルのリスナーにはマストのバンドと言えるでしょう。民族音楽とシンフォブラックのこの絶妙な調和性、本当に見事です。敬服いたします。
ある意味クサいとも言えるメロディの撒き散らし具合に、TRUEブラックメタラーはなかなかその食指が動かないかもしれませんが、これを聞かずに日々を過ごすのは目玉焼きに醤油やマヨネーズをかけないで食べる程に味気ないってもんです。
民族音楽ファンにも、シンフォブラックファンにも、どちらにも胸を張ってオススメできる東欧からの頼もしい音楽世界。彼らの作品は名盤とされる物が多く、どれを聞いても大きく外れることはひいと思います。音源の入手は、ぼくのようにそれなりに難しくなってしまうかもしれませんが、とにかく一度、聞いてみてください。


注目曲
3. Black Raven, 5. The Child of Swamps and Full Moon, 9. Nechrist: The Dance of Swords, 88. Perun's Celestial Silver
                             

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(っ'ヮ'c)チカ (っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ (っ'ヮ'c)チカ (っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ

メロディックブラックメタルというのは非常に面白い表現で、退廃的な音作りによって、その者にとっての卑屈ともとれる世界への認識を表すのがその本来の姿として定義づけられていたブラックメタルというものに、大胆にも、流麗でまるで元々のブラックメタルとは正反対な、言ってしまえばひどく大衆的な音をブレンドされてしまったという、世界でも類を見ない奇怪なジャンルなわけですが、何を隠そうぼくはこの奇怪なジャンルの代名詞的存在であるdissectionというバンドをきっかけにして、深淵としか言いようのないブラックメタルの世界に引きずり込まれたのであります。
メロディックなブラックメタルなど、邪道以外の何物でもないと捉えられてもまず否定出来ないだろうと考えていたぼくでありますが、それは所詮、聞かず嫌いによるぼくの一方的な先入観でしかなく、そんな土台のない曖昧な先入観しか持っていなかったぼくは、ひょんなことからこのバンドの音を聞くことになり、あっさりとこのジャンルの存在を認め、それまで興味を持つこともなかったブラックメタルの世界そのものに傾倒するにも至ったのです。
とは言いつつも、ぼくは正直dissection以外のメロブラには一切興味がありません。ポンコツなスラッシュメタルばかり好むポンコツ脳なぼくがこのような系統のバンドにハマること自体がまず突然変異のようなものであり、ポンコツ脳らしくこのバンドを聞きブラックに傾倒し出してから最初にすきになったバンドがbeheritでありますので、ぼくが言うことでもない気はしますがそれは当たり前のことなのです。
ぼくは、基本的にはメロディの崩壊した支離滅裂で荒唐無稽な、まともな感性を持ち合わせていればとても聞くに耐えないような、暴走し切った音楽を好む傾向にあり、メロディなど申し訳程度しかないのが然りであり、それ以上のものは蛇足にしか過ぎぬ、寧ろ害悪な存在になり得るものであると考えているような人間なので、偉そうな言い方をすれば、よほど美しく心を震わされるような音でなければ、メロディックなバンドをすきになることなどないのであります。つまるところ、このdissectionというバンドはそれほどまでにぼくに大きな影響をもたらしたのです。先日更新した記事にも後述しておりますが、このバンドからは、この世の全てに絶望し切った哀しい宿命の者たちの最後の叫び、といった雰囲気がひしひしと伝わってくるのです。言葉にならない哀しみや苦しみが、音を通じて聞く者に伝えられる、ぼくにはそれがあまりにも衝撃的で、文字通り人生を変えられるほどのものにもなりました。
これ程までに大きな存在に出会えた、それはぼくの、まだまだ短いとはいえそれなりに濃いと自覚している人生の中でも、非常に大きな意味を成しておりますし、今後も、それは重要な意味も成していくのであろうということは、改めてこの場で記しておく必要性もないことでありましょう。


注目曲
2. Night's Blood, 3. Unhallowed, 4. Where Dead Angels Lie, 5. Retribution - Storm of the Light's Bane, 6. Thorns of Crimsom Death, 7. Soulreaper, 8. No Dreams Breed in Breathless Sleep

採点不可

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