強烈なルックスとかわいらしいアイドル声を兼ね備えた、ある意味holy mosesのサビーナグラッセンとまるで相反するような特徴を持つボーカルを擁する、異様に個性の強いスラッシュメタルバンド、znowhite。そのバンドに在籍していた、これまた強烈と言うかメタル界に於いてあまりその類を見ない、黒人のメンバーにより結成された、実質znowhiteを前身とした、そのバンド以上に個性の強いバンド、それがこのcyclone templeです。
限りなくマニアックなバンドとして、スラッシュの歴史の渦の中に埋もれてしまった存在ですが、そうなってしまった理由がまるでわからないような、非常に上質で濃密なテイストが醸し出されているように思われます。
アルバム全体が叙情的なメロディやフレーズに溢れ、無論スラッシュ本来の攻撃性もたっぷりで、metallicaのように売れたのではという可能性すら感じます。メロディックなスラッシュメタルなどというのは、forbiddenやtestamentなどでは決してなく、このバンドのことに他なりません。ここまで耳に残る歌メロをかけるバンドが、彼らの他に果たして存在しましょうか。そして、このバンドの魅力はこのメロディーだけに留まらず、哀愁を帯びたそのボーカルにもたっぷりと関係してきます。よくもまあ、ここまで曲に合った声質のボーカルを見つけ出したものだと感服いたします。マイナースラッシュの枠に留まらないその才能は、その時点で既に確立されていたのです。
なぜこのバンドがこれほどまでにマイナーなのか本当に不思議でなりません。スラッシュ界だけでなく、メタルという世界に置いて前線に立っていてもほとんど差し障りなさそうな音ではありますが、一体何がいけなかったのか。metallicaの2nd、forbiddenやtestamentの1st、artilleryの3rdあたりが好きな人ならば必ずやドツボにハマる音であると見て良いでしょう。売れる可能性を秘めていても、結局誰にもその才を認められることなく散りゆく。90年前後のスラッシャーたちの哀しみに満ちた宿命を、文字通り体現した隠れすぎた名バンドでした。


注目曲
1, Why, 3. Words Are Just Words, 6. I Hate Therefore I Am

(っ'ヮ'c)チカ (っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ (っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ(っ'ヮ'c)チカ